米国では、食品に使われる石油由来の合成着色料を段階的になくす方針を受け、食品メーカーが原材料の見直しを進めています。代わりに使える着色料には植物由来のものもありますが、赤色では、すでに多くの商品に使われている「カルミン」も候補に挙がっています。カルミンはコチニールという昆虫から作られるため、使用が広がれば、命を奪われるコチニールが増えるおそれがあります。
米食品医薬品局(FDA)は、赤色3号の食品への使用許可を取り消し、メーカーに2027年1月15日までの原材料の変更を義務づけています。黄色やオレンジ色、青色の合成着色料は、ウコン、アナトー、バタフライピー、クチナシなどに由来する色素に置き換えることができます。一方、植物由来の色素で鮮やかな赤やピンクを出すのは難しく、その色を出せる昆虫由来のカルミンが、すでに多くの商品に使われており、「コチニール色素」「Natural Red 4」「CI 75470」「E120」などと表示されることもあります。
コチニールはカイガラムシの一種で、南米の熱帯・亜熱帯地域からメキシコ、米国南西部にかけて生息しています。オプンティア属のサボテンに寄生し、生涯の大半を一か所にとどまって過ごします。
国際動物福祉評議会(ICAW)によると、カルミンを1ポンド(約454グラム)作るには、およそ7万匹のコチニールが必要です。同団体の交渉担当ディレクター、ヒラリー・ヘンドリクソン氏は、動物に関する調査情報サイトFaunalyticsへの寄稿で、コチニールは天日干し、オーブンでの乾燥、熱湯に漬けるなどの方法で命を奪われると述べています。現在はペルーが主な生産地で、メキシコ、チリ、ボリビア、カナリア諸島でも小規模な生産が行われています。
ICAWは2026年1月から、企業に対し、カルミンの代わりにビート抽出物、アントシアニン、パプリカオレオレジン、リコピンなどの植物由来の色素を使うよう求めています。すでにカルミンを使用している企業には、使用中止までの予定を定めるよう促しています。これまでに複数の企業が、原材料の見直しに際してカルミンを使わないことを公表、またはICAWに伝えています。
同団体は引き続き企業と協議を進めており、2026年秋には報告書を公表し、一般向けの啓発キャンペーンを始める予定です。カルミンを使用する企業や、使用の有無について回答しなかった企業の名前も明らかにするとしています。
スターバックスは2012年、従業員がイチゴ風味の商品にコチニール色素が使われていることを明らかにし、批判が高まった後、これらの商品から同色素を取り除きました。
ダノンは、米国の公益科学センター(Center for Science in the Public Interest)からカルミンの使用中止を求められた際、原材料の変更に応じず、カルミンは安全で、原材料表示にも明記していると説明しました。現在も、米国向けダノン製品の一部には、原材料としてカルミンが記載されています。
Original article in English by Jordi Casamitjana / Japanese version by Yuko Kubo.







